神様はどうやって空から降りてきたの?
日本の神話や神社巡りが好きになると、ふと素朴な疑問が湧いてくることはありませんか?
「高天原(たかまがはら)は空の上にあるというけれど、神様たちはどうやって地上と行き来していたんだろう?」
私も最初は、なんとなく「背中に羽が生えていて飛んでくる」とか「雲に乗ってくる」といったドラゴンボールのようなイメージを持っていました。しかし、古事記や日本書紀を深く読み込んでいくと、そこには驚くほど具体的で、メカニカルとも言える「乗り物」の存在が描かれていたのです。
今回は、知れば知るほどSFチックで面白い「高天原の神様の乗り物」について、私が調べた内容と、実際にその伝説が残る場所を訪れて感じたことをシェアします。これを読めば、神社の巨石や橋を見る目がきっと変わりますよ。
高天原と地上をつなぐ、意外な移動手段たち
調べてみて驚いたのは、神様たちの移動手段が非常にバリエーション豊かだということです。単に飛ぶだけではなく、古代の人々が想像力を働かせて「どうやってこの世界が繋がっているか」を考えた痕跡が見えてきます。
1. 天と地をつなぐ巨大なハシゴ?「天の浮橋(あめのうきはし)」
まず、乗り物というよりは「通路」ですが、最も有名なのが『天の浮橋』です。
国生みの神話で、イザナギとイザナミがこの橋の上に立ち、矛(ほこ)で海をかき混ぜて日本列島を作ったとされています。
私はこの話を読んだとき、「空に浮いている橋って、今の宇宙ステーションと地上のエレベーターみたいだな」と勝手に想像してワクワクしました。京都府の天橋立(あまのはしだて)は、イザナギが昼寝をしている間にこの橋が倒れてしまってできた、という伝説があります。
実際に天橋立を訪れて股のぞきをしてみたとき、海と空が逆転して、本当に空へ続く橋のように見えました。「昔の人は、この景色を見て神話を作ったのかもしれない」と肌で感じられた瞬間でした。
2. まるで宇宙船?「天鳥船(あめのとりふね)」
個人的に一番ロマンを感じるのがこの『天鳥船』です。
これは、建御雷神(タケミカヅチ)などの神様が乗る「船」なのですが、名前の通り「鳥のように空を飛ぶ船」とされています。
面白いのは、この船自体が「鳥之石楠船神(とりのいわくすふねのかみ)」という神様そのものであるとされている点です。乗り物でありながら、意思を持つパートナーのような存在。なんだか近未来のAI搭載ビークルみたいではありませんか?
国譲り神話の際、使者として派遣された際にもこの船が登場します。古代の人々にとって、海を渡る船と空を飛ぶ鳥は、遠くへ行くための象徴だったのでしょう。
実際に「神様の乗り物」が見られる場所へ行ってみた
「本の中だけの話でしょう?」と思うなかれ。実は日本には、この「神様の乗り物」そのものを御神体として祀っているすごい神社があるんです。
私が実際に訪れて圧倒されたのが、大阪府交野市にある「磐船神社(いわふねじんじゃ)」です。
高さ12メートルの巨石に言葉を失う
この神社には、饒速日命(ニギハヤヒノミコト)が高天原から地上に降りる際に乗ってきたとされる「天の磐船(あめのいわふね)」が祀られています。
「どうせ、船の形をしたちょっと大きな石でしょ?」と思って行ってみたら、腰を抜かしました。
目の前に現れたのは、高さ約12メートル、幅約12メートルという、とてつもない大きさの巨岩です。船というよりは、巨大な岩塊そのもの。これが空から降ってきたと想像すると、当時の人々が畏敬の念を抱いたのも納得です。
神社の境内は狭い谷底にあり、その巨岩の迫力は写真では伝えきれないほど。私はその岩の前に立ったとき、理屈ではなく「あ、これは人間の手によるものじゃないな」という不思議な説得力を感じました。静寂の中で巨石を見上げていると、本当に空から何かが降りてくるような感覚に陥ります。
※磐船神社には「岩窟めぐり」という行場がありますが、かなり険しいので、足元には十分注意が必要です(私もスニーカーで行きましたが、それでもドキドキしました)。
神様の使いとなった動物たちも「乗り物」?
機械的な乗り物だけでなく、動物の背中に乗って移動する神様もいます。
- 鹿(シカ)
茨城県の鹿島神宮から、奈良の春日大社へ神様(タケミカヅチ)が移動する際、白い鹿に乗ってきたという伝説は有名です。だから今でも奈良公園の鹿は「神の使い」として大切にされているんですね。 - 鰐鮫(ワニザメ)
因幡の白兎の話では、海を渡るためにワニ(サメ)を利用しています。これは乗り物というよりは「利用した」感じですが、海を移動する手段として描かれています。
まとめ:空を見上げて古代の旅路を想像してみよう
高天原の神様の乗り物について調べてみると、以下のことが分かりました。
- 神様は「天の浮橋」や「天鳥船」など、具体的な手段で移動していた。
- その乗り物自体が神様として祀られていることもある。
- 現代でも「磐船神社」などで、その伝説の痕跡を体感できる。
「昔話なんて作り話」と切り捨てるのは簡単です。でも、「古代の人々は、空を飛ぶ船を夢見ていたのかな」とか「この巨石を見て、神様の船だと思った感性が素敵だな」と捉えてみると、日常が少し豊かになります。
次にあなたが神社で「船」の形をした岩や、「橋」を見かけたときは、ぜひ高天原から降りてきた神様たちの旅路に思いを馳せてみてください。きっと、今までとは違う風を感じられるはずです。


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