「意識高い系が痛い…」そう感じるのは、あなただけがおかしい訳じゃない。

もし、あなたがそのザワザワ感の正体を知りたくて、そして、そんな自分を責めるのをやめたいと思っているなら、この先を読み進めてください。

断言します。その感情は、あなたがひねくれているからじゃありません。むしろ、あなたの感性が、あまりにも正常に働いている証拠なのです。

なぜ私たちは「意識高い系」の人たちに嫌悪感を抱いてしまうのか

多くの人が経験する、あの何とも言えない不快感。その正体を突き詰めると、いくつかの共通した理由が見えてきます。

中身が伴って見えない「言葉だけのキラキラ」に、本能が気づいてしまうから

「マインドセットが重要」「パラダイムシフトが起きた」…そういった言葉を多用する人に限って、その人の行動や人柄に深みが感じられないことがあります。まるで借り物の鎧を着ているかのように、言葉だけが浮いて聞こえるのです。

あなたの心は、その言葉と実態のズレを本能的に見抜いています。「この人は、本当に自分の言葉で話しているのだろうか？」という疑念が、ザワザワ感の大きな原因の一つです。

無意識に「あなたもこうあるべき」と価値観を押し付けられる息苦しさ

彼らは直接的に何かを強要してくるわけではありません。しかし、その存在そのものが、「成長し続けなければならない」「常にポジティブでなければならない」という無言のプレッシャーを放っています。

自分のペースで生きたい、ネガティブな時もあっていい。そう思っているあなたにとって、その一方的な価値観は、息苦しさ以外の何物でもありません。自分のあり方を暗に否定されているような感覚が、不快感に繋がるのです。

彼らのまぶしさが、自分の「何もできていない感」を刺激して辛くなるから

これは、とても正直な感情です。キラキラと活動的に見える彼らと、何もできずに立ち止まっているように感じる自分を、無意識に比べてしまう。そして、「それに比べて自分は…」と落ち込んでしまうのです。

これは嫉妬というより、自己肯定感が下がっている時に起こりがちな自己防衛反応に近いかもしれません。まぶしいものを見ると、自分の影が濃く見えてしまい、辛くなる。だから、無意識のうちに目をそむけたくなるのです。

「自己啓発が嫌い」は、むしろ“あなたがまとも”である３つの証拠

もしあなたが「自己啓発、嫌いかも」と感じているなら、それは欠点ではなく、むしろ誇るべき才能です。あなたが“まとも”である証拠を３つ、お伝えします。

証拠１：あなたは、地に足の着いた現実的な視点を失っていない

「思考は現実化する」といった言葉に100%のめり込むのではなく、「いや、現実にはそんな簡単なことばかりじゃない」と冷静に考えられる。あなたは、夢見がちな言葉に踊らされず、地に足の着いた現実を見つめる強さを持っています。

証拠２：あなたは、表面的な言葉の裏にある胡散臭さや矛盾を敏感に察知する“センサー”を持っている

誰もが鵜呑みにするような言葉の裏に隠れた、わずかな矛盾やご都合主義を、あなたの感性は見逃しません。これは、物事の本質を見抜く才能です。騙されにくく、安易な解決策に飛びつかない、非常に優れた危機管理能力と言えます。

証拠３：あなたは、他人の価値観を鵜呑みにせず、自分の頭で考えようとする「健全な批判精神」を持っている

「本当にそうなの？」と一度立ち止まって考えられる力。それは、他人の言いなりにならず、自分自身の価値観を大切にしようとする、自立した精神の表れです。その健全な批判精神があるからこそ、あなたは自分を見失わずにいられるのです。

職場やSNSにいる「自己啓発マウンティング」から心を守る処方箋

才能の証拠だと言われても、実際に不快な思いをするのは避けたいもの。ここでは、あなたの心を穏やかに保つための、簡単な処方箋をご紹介します。

• 物理的に距離を置くのが一番の特効薬：SNSならミュートやブロック。職場なら、必要以上に関わらないようにする。あなたの心の平穏が最優先です。
• 心の中で「はいはい、すごいですね（棒読み）」とスルーする技術：相手を変えることはできません。心の中で感情を無にして受け流しましょう。真面目に聞くから疲れるのです。
• 無理に理解しよう、合わせようとしないことを、自分自身に許可してあげる：「分かり合えない人もいる」と割り切ることは、優しさです。自分に対する、最高の優しさなのです。

「嫌い」なままでいい。でも、もし今の自分から一歩進みたいなら

自己啓発を嫌いなままで、全く問題ありません。しかし、もしあなたが「今の停滞した状況から、少しだけ前に進みたい」と願うなら、アプローチを少し変えてみませんか。

あなたが本当に求めているのは「自己“啓発”」ではなく、自分を丸ごと認める「自己“受容”」かもしれない

外から何か新しい知識を取り入れて自分を「開発」するのではなく、今のダメな部分も、嫌いな部分も含めて、丸ごと「これが私だ」と受け入れてあげること。実は、あなたが本当に求めているのは、後者なのかもしれません。

キラキラした言葉ではなく、静かで、心に沁みる言葉にだけ耳を傾けてみる

大勢に向けられた大きな声ではなく、静かで、穏やかで、あなたの心にだけそっと寄り添ってくれるような言葉。そうしたものにだけ、触れてみる。派手さや即効性を求めるのをやめると、本当にあなたに必要なメッセージが見えてくるはずです。

その「嫌い」という感性を、今度は自分のために使ってみませんか？

「自己啓発が嫌い」という感情は、あなたを守るための大切な才能でした。それは、外側の世界の「偽物」を見抜くためのセンサーです。

だとしたら、その鋭敏なセンサーを、今度はあなた自身の「内側」に向けてみるのはどうでしょう？

借り物のキラキラした言葉に違和感を覚える、その繊細な感性こそが、あなた自身の内なる声、封印されてきた本当の力を聞き分けるための、最高の資格なのですから。