面接中、一生懸命に話している最中に面接官がサッと手元の資料に何かを書き込む。その瞬間、ふと「あ、今の発言はまずかったかな?」「もしかしてマイナス評価?」と不安が頭をよぎり、話の続きを忘れてしまいそうになったことはありませんか?
沈黙の中で走るペンの音は、受験者にとって非常に気になるものです。しかし、そのメモの正体を正しく理解すれば、次からはむしろペンが動くたびに「自分の言葉が届いている」と自信を持てるようになるはずです。今回は、面接官の視点から見たメモの意味について、心を整えるための考え方をお伝えします。
ペンが動くたびに、心がざわついてしまうあなたへ
沈黙のなかで走るペンの音への違和感
面接は、人生を左右するかもしれない大切な場。だからこそ、相手の反応の一つひとつに敏感になります。面接官がうつむいてペンを動かしていると、自分を否定されているような、冷たい「審査」をされているような違和感を抱きがちです。特に30代の転職では、これまでのキャリアをどう判断されているのかというプレッシャーから、その音を大きく感じてしまうことがあります。
「何か失敗したかも」という不安の正体
多くの人が「メモ=減点対象の記録」だと思い込んでいます。しかし、事実はその逆であることがほとんどです。面接官にとって、全く興味のない相手や、採用する可能性が極めて低い相手に対して、熱心にメモを取ることはありません。不安の正体は、あなたの「良く見られたい」という誠実な願いからくる、少しの取り越し苦労なのかもしれません。

言葉の再定義|メモは「採点表」ではなく「あなたへの興味」
面接官がメモを取らざるを得ない「物理的な理由」
面接官は、一日に何人もの候補者と会います。後で社内の会議で「この方は、前職でこのような素晴らしい成果を上げていました」と報告する際に、記憶だけに頼るのは不可能です。つまり、メモはあなたの魅力を「忘れないようにするための備忘録」であり、社内の味方に共有するための大切な資料なのです。
メモが多いのは、それだけ「報告すべき材料」がある証拠
あなたが具体的なエピソードを話せば話すほど、面接官のペンは動きます。それは「この内容は後で精査したい」「この強みは現場の部署に伝えたい」と思われている証拠です。ペンが動いているときは、むしろ「今の話は聞き手のフックに掛かったな」と肯定的に捉えてよいのです。
私が気づいた、面接官がメモしている「具体的な内容」
面接官はあなたの「言葉の節々」に注目しています。例えば、
・「〇〇というプロジェクトでリーダーをした」という事実
・「トラブルが起きたとき、こう考えた」という思考のプロセス
・「入社後はこう貢献したい」という前向きな姿勢
これらを、後の評価会議で使うための「根拠」として書き留めています。決してあなたの粗探しをしているわけではなく、あなたを採用するための理由を、一生懸命探してくれているのです。
解釈の変化|「見られている」から「情報を渡している」へ
30代の面接は、一方が審査される場ではなく、お互いの未来について話し合う「対等な場」です。「どんなことを書かれているんだろう」と怯える側から、「私の価値を正しく伝えるために、良い材料を渡してあげよう」という主体的な立場へ、少しだけ解釈を変えてみてください。視点を変えるだけで、不思議と声に落ち着きが生まれます。
もし、面接自体に強い苦手意識があるなら、事前に自分の強みを一緒に言語化してくれるパートナー(ツナグバ)のような存在を頼るのも一つの知恵です。自分の良さを整理できていれば、面接官が何を書こうとも、揺るがない自信を持って対話に臨めます。

まとめ|視線は手元ではなく、未来の景色に向けて
面接官のペンが動く音は、いわば「拍手」や「相槌」のようなものです。魔法のように不安を消すことはできませんが、その音を「自分の言葉が相手に届いたサイン」だと解釈すれば、面接の時間はもっと心地よいものに変わります。
相手の手元ではなく、相手の目、そしてその先にある「一緒に働いている未来の景色」に意識を向けてみてください。誠実に、等身大のあなたを伝えることができれば、そのメモは必ずあなたを後押しする強い味方になってくれるはずです。
あなたの良さが正しく伝わり、納得のいく出会いに恵まれることを心から願っています。
※本記事は一般的な面接現場の状況に基づいた心理的な考察です。面接官のスタイルは企業ごとに異なるため、あくまで一つの視点として参考にしてください。


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