日本の神話の中でも、ひときわ個性的で破天荒な神様、スサノオノミコト。
英雄としてヤマタノオロチを退治した話は有名ですが、その前に「高天原（たかまがはら）」から追放されていた、という過去があるのを知っていますか？
「え、なんでヒーローが追放されちゃうの？」
「一体、天上の世界で何をやらかしたの？」
そんなあなたの疑問に、今日はスサノオが高天原を追放された神として一連の事件を分かりやすく解説していきます！
そもそも追放の原因は？ワガママから始まった大暴走
スサノオの追放劇のきっかけは、実はかなり個人的なワガママからでした。
彼の父であるイザナギから「海原を治めなさい」と命じられたにもかかわらず、スサノオは衝撃の行動に出ます。
「お母さんに会いたい！」涙が止まらない海の神様
なんとスサノオは、「亡くなったお母さん（イザナミ）がいる黄泉の国へ行きたい！」と言って、自分の役目を放棄して激しく泣きじゃくったのです。
その涙は嵐を呼び、山を枯らすほどすさまじく、地上の世界に大きな災いをもたらしました。
これに怒った父イザナギは、「そんなに言うならお前の好きなようにしろ！でも、この国には住むな！」と、スサノオを追放してしまうのです。これが第一次追放ですね。
そこでスサノオは、「お姉ちゃんのアマテラスに挨拶してから行こう」と、高天原へ向かうことにしました。
姉アマテラスへの誤解された挨拶
スサノオがものすごい勢いで高天原へ向かうので、姉のアマテラスは「弟が攻めてきた！高天原を奪う気だ！」と勘違いして、完全武装で待ち構えます。
スサノオは「いやいや、挨拶に来ただけだって！」と弁明。お互いの潔白を証明するために、「うけい」という神聖な誓いの儀式を行いました。
結果、スサノオの潔白が証明されて勝利！アマテラスの疑いも晴れ、高天原に滞在することを許されたのですが…。この勝利が、スサノオを調子に乗せてしまうのです。
追放のきっかけは、スサノオの「母に会いたい」というワガママ。一度は父に追放されますが、姉のアマテラスに挨拶しに行った先で潔白を証明したことで、調子に乗ってしまいます。
アマテラスがブチ切れ！スサノオの決定的な罪「天つ罪」
勝利に酔いしれたスサノオは、神聖な高天原でやりたい放題の限りを尽くします。
最初は弟をかばっていた優しい姉、アマテラスも、ついに我慢の限界を超える時がやってきました。
スサノオが行ったこれらの乱暴狼藉は「天つ罪（あまつつみ）」と呼ばれ、神の世界のタブーを破る大罪でした。
田んぼを破壊！神聖な儀式への妨害
まずスサノオは、アマテラスが大切に育てていた神聖な田んぼに行き、畔（あぜ）を壊してめちゃくちゃにしてしまいます。
さらに、収穫したお米をいただく神聖な宮殿に、なんとウンチをまき散らすという、とんでもない嫌がらせまでしたのです。
この時点ではまだアマテラスも、「弟のことだから、何か考えがあるのかも…」と、必死にスサノオをかばっていました。健気すぎますよね…。
【追放の決定打】機織り小屋の悲劇
しかし、ついに決定的な事件が起こります。
アマテラスが神様のための衣を織らせていた神聖な機織り小屋の屋根に穴を開け、そこから皮を逆剥ぎにした馬を投げ込んだのです。
これに驚いた機織り女は、はずみで機織りの道具（梭）が体に刺さって死んでしまいました。
大切な部下を目の前で死なせ、神聖な場所を汚されたアマテラスは、恐怖と悲しみで心に深い傷を負い、あの有名な「天岩戸（あまのいわと）」に引きこもってしまうのです。
ついに神々が下した決断「神やらい」という名の追放処分
太陽神であるアマテラスが天岩戸に隠れたことで、世界は光を失い、闇に包まれてしまいました。
この一大事に、高天原の神々（八百万の神）は緊急会議を開きます。
全ての元凶はスサノオにあり
言うまでもなく、会議の結論は「この大混乱の全ての原因はスサノオにある」ということでした。
神々は満場一致で、スサノオに厳しい処分を下すことを決定します。
罰金とヒゲ抜き？そして追放へ
スサノオには、莫大な量の賠償品を科せられた上、反省の証として髪と手足の爪、さらにはヒゲまで抜かれるという罰が与えられました。
そして、最終的に下されたのが「神やらい（かんやらい）」という、高天原からの永久追放処分だったのです。
こうしてスサノオは、自身の乱暴な行いの結果、神々の世界から追い出されてしまいました。
スサノオの追放理由は、神聖な場所や儀式を破壊し、ついには死者まで出してしまった「天つ罪」。これが姉アマテラスを深く傷つけ、世界の危機を招いたため、神々の満場一致で追放処分となりました。
まとめ：スサノオの追放劇は、成長のための序章だった
スサノオがなぜ高天原を追放されたのか、その理由がお分かりいただけたでしょうか？
最後に、今日のポイントをまとめておきましょう。
- きっかけ：「母に会いたい」というワガママで父に追放され、高天原へ。
- 暴走：姉アマテラスとの誓いの儀式に勝って調子に乗り、神聖な場所で乱暴狼藉を繰り返す。
- 決定打：機織り小屋で死者を出してしまい、アマテラスが天岩戸に隠れる原因を作った。
- 結果：全ての元凶として、高天原の神々から永久追放処分（神やらい）を受けた。
ただの乱暴者に見えるスサノオですが、実はこの追放劇は、彼が地上で英雄へと成長していくための重要なプロローグでもあります。
高天原での大失敗があったからこそ、彼は地上で人々のために戦う、本当のヒーローになれたのかもしれませんね。
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